王者の妻

永井路子

ついに天下人となった秀吉。昔とは別人のようになってしまった夫の姿に人知れず寂しさを覚える、おねね。
栄華を極めたかにみえた秀吉もやがて老いをみせ、時代は徳川の世へ移ろうとしていた。
激動の時代を生きた女性が抱えずにはいられなかった苦悩を直木賞作家永井路子が描く、歴史長編後半。

大正14年東京生まれ。東京女子大学国文科卒業後小学館に入社し、『女学生の友』『マドモアゼル』の編集者を務める。
小学館時代から歴史小説を執筆し始め、昭和39年『炎環』で直木賞を受賞。その他にも吉川英治文学賞を受賞した『雲と風と』等多くの素晴らしい作品を世に送り出している。
男性的目線になりがちな歴史人物や歴史事件を解きほぐし、その陰になりがちな女性にも焦点をあて、歴史上の人物、出来事を鮮やかに浮かび上がらせる作風は、歴史小説に新風を巻き込んだものと評価されている。
また、直木賞受賞作品である『炎環』、『北条政子』などは、NHK大河ドラマ『草燃ゆる』(1979年)の原作として、また『山霧 毛利元就の妻』『元就、そして女たち』などは、同じくNHK大河ドラマ『毛利元就』(1997年)の原作としても知られている。